近年、潰瘍性大腸炎およびクローン病を二大疾患とする炎症性腸疾患(IBD)の患者数は増加の一途をたどっており、もはや稀な疾患とは言えず、日常臨床で遭遇する機会も多くなっています。加えて、既存患者の高齢化、新規の高齢発症例も増えており、臨床的課題は多様化しています。

このような状況を踏まえ、国内有数の症例数を誇る兵庫医科大学 炎症性腸疾患外科にて学びの機会を得たいと考え、日本臨床外科学会 2025年度国内外科研修に応募し、2025年9月29日から10月10日までの2週間、貴重な研修をさせていただきました。

研修期間中は、手術症例が多く非常に充実した2週間でした。潰瘍性大腸炎に対しては、腹腔鏡下大腸全摘回腸嚢肛門吻合術+人工肛門造設術、さらに国産ロボットシステム「hinotori」を用いたロボット支援下大腸全摘回腸嚢肛門管吻合術+人工肛門造設術など、大規模な手術を見学しました。クローン病に関しては、狭窄病変に対する腸管切除術を見学し、症例ごとの個別性を踏まえた対応の重要性を学びました。

また、吻合法についても学ぶ機会がありました。近年は自動吻合器の性能向上により、FEEA法などの器械吻合が主流となっておりますが、定型化されスピーディーに進められる手縫い吻合の技術には感銘を受けました。外来での術後の長期的なフォローアップの方法についても、多くの示唆を得ることができました。

今回の研修を通じ、炎症性腸疾患外科治療の最前線に触れることができ、非常に貴重な学びの機会となりました。

(文責:石飛一成)

20251016